2016-07-13 20年前 1 むかし それは勘違いからだった。 「オレでいいのか?」 出会って間もない頃。 何度目かの食事のあとに言われた言葉。 「はい。おねがいします」 付き合っているつもりはなかった。 お付き合いを始める合図だと思って答えた。 そこから怒涛の毎日が始まった。 あっという間に両家の挨拶の段取りが組まれた。 結婚式のプランニング会社ができ始めた頃で、 何社か尋ねて、1社に決まった。 春には結婚式が行われることになった。 「長男だから当然同居だろう」 暗黙の了解のように準備する中、 同居の話は結婚式目前にして消えた。