雨のち晴れ

X-Dayへのカウントダウン。いつどうなるか。

20年前 1

それは勘違いからだった。
 
「オレでいいのか?」
 
出会って間もない頃。
何度目かの食事のあとに言われた言葉。
 
「はい。おねがいします」
 
付き合っているつもりはなかった。
お付き合いを始める合図だと思って答えた。
 
そこから怒涛の毎日が始まった。
 
あっという間に両家の挨拶の段取りが組まれた。
結婚式のプランニング会社ができ始めた頃で、
何社か尋ねて、1社に決まった。
 
春には結婚式が行われることになった。
 
「長男だから当然同居だろう」
 
暗黙の了解のように準備する中、
同居の話は結婚式目前にして消えた。