それをブルーと人は言う④
育児疲れをしている時間はなかった。
不倫とわかった瞬間、
机に置かれた彼の持ち物を調べた。
相手はすぐにわかった。
すぐそこに一緒に撮った写真があったからだ。
名前も身元も分かった。
すぐそこに物的証拠があったからだ。
まるで私に「見つけてくれ」と置いたようなものだ。
怒りで震える自分に気づいた。
無性に怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
出産で大変だった時にも相手と会って
その足で病院に訪ねていたのだ。
仕事なんかではない。
相手の子供二人と遊びに出かけてもいた。
大きなお腹を抱え家事をしていた時にも
深夜になるまで相手のお店に飲みに行っていた。
借金をしてまで相手にプレゼントを渡していた。
しかも一人ではなかった。
不倫相手は少なくても二人はいた。
「子供のことも面倒見てくれて今日はホントありがと~!」
「一生うちのこと守ってくれるなんて。信じていいのかな?」
「今日はこれで帰るね~また遊びに行こうね~!」
甘ったるい言葉の羅列。
もう一人の相手も子持ちのチーママだった。
一戸建て借家の事務所に泊まって帰ったようだ。
数々の証拠を並べて彼の帰りを待った。
自分の血を分けた子供はほったらかしにして、
周りの反対を押し通して独立したばかりの仕事もそっちのけで
遊んでいたのかと突き詰めた。
「夜の仕事で一人での子育ては大変だから守ってあげたい」と言い訳した。
「お前と違って独立に賛成してくれたし」
「お前は強いから生きていけるだろう。彼女は無理だから守ってあげないと」
挙句の果てに
「別れてくれ」
とまで言い出した。