20年前 3
仲人を頼んだその数日後、
「お世話になっている人に紹介したいから」
ある一人の女性に会った。
一人暮らしの女性の部屋で
部屋に似合わない大きなベッド。
枕元の写真立てには
見覚えのある顔と目の前の女性。
「そう。Aちゃんの所に行ったんだ」
純粋すぎる自分でも
この人がどういう人なのかすぐにわかった。
「おめでとう。幸せになりなよー」
送り出されたものの、
何とも複雑な気持ちだった。
写真立てにあったのは
Aちゃん
仲人上司の顔だったからだ。
そういう関係があるものだと
頭でわかっていても
結婚を控えた自分は納得ができなかった。
結婚式までの時間、
何度か会うたびに
「この人に仲人を任せていいのか」
ずっと気分が悪かった。
自分には関係のないことだと思い込み、
過ごすしかなかった。
そして、
友人を招いての婚約披露の席を開いた。